つえ屋

ちょっとまえに、オンラインで、あるセミナーを受講した。

その時に京都の「つえ屋」さんの話を聞いた。

日本初の「杖」の専門店だ。

コロナ禍で、京都のお土産やさんに出していた商品が全く売れなくなり、売上が▲90%まで落ち込んだそう。

その中で、そこの社長さんが考えたことが「観光客相手から脱却して別の販売先を探そう」ということだった。

そこで思いついたのが、「葬儀屋」をお客さんにすること。

ある時、亡くなられた方の愛用の杖を、棺桶の中に入れようとすると、火葬場の担当者から「金具がついているので、棺の中に入れることはできません。」と断られたという話を耳にした。

そこでピンときたのが、「金属を一切使わない燃やせる杖」だ。

「天国のつえ」と命名し、こんなコンセプトも考えた。

「<天国のつえ>は生前に杖をご愛用の故人へ、天国でも元気に歩いてほしい、やさしいお気持ちをあらわす、お葬式で納棺できる杖です。」

さらに、納棺時に、杖に寄せ書きができたり、杖の表面に「般若心経」が書き込んであったり、いろんな趣向を凝らした。

そうしたら、みるみる販売実績が伸び、業績がⅤ字回復!

価格も、お土産屋さんで販売していた杖が1,000円程度だったのに対して、「天国のつえ」は27,500円。

今や通販でも販売している売れ筋商品になっている。

 ちょっとした発想の転換で、自社の危機を乗り越えた、勇気をもらえる痛快な話だ。

諦めることなく「プラス思考」でものごとを前向きにとらえ、解決策を必死で考えたら、何かしら打開策が生まれてくる、もしくは手を差し伸べてくれる人や企業が現れてくる。

気持ちだけでも明るく前向きに持っておくことが、今の時代には最も大切なことではないかと感じた「つえ屋」さんのエピソード。