敬礼おじさん②

先日、敬礼おじさんの書き込みをしたのだが、今回はその続きのお話を・・・

ある日の夕方、通勤路をいつものように帰っていた時のことだ。

左手に敬礼おじさんが手を振っている姿を目でとらえた。

いつものようにこっちも手を振ろうと思った時に、彼のすぐ横で車椅子のおばさんが、すこし恥じらいながら手を振っているではないか!

私も思わず両者に対してにこやかに手を振って挨拶をした。

と同時に、一瞬にしてこの二人の夫婦のストーリーが脳裏に浮かんで、目頭が熱くなった。

以下、私が勝手に想像したストーリーである。
(方言のため、一部理解しづらいところがあるのをご勘弁ください)

妻「おとうさん、毎日朝夕、ずっと立って見知らぬ人に敬礼しよるけど、なんでそげなことばしよるとね?」

夫「おまえ、この敬礼の楽しさをおぼえたら、やめられんごとなるったい!」

妻「なんがそげん楽しかつね?」

夫「俺は、車の中からこっちに向かって挨拶ばしてくれる人たちの心の中が手に取るようにわかるったい。今日はどんな思いで会社に出勤しとらっしゃるのか、前の日に嫌なことがあったのか、最近、よほどいいことがあったのか、俺は、こん前を通る人たちの人間模様が、よ~わかる。」

妻「ほ~。んなら、その人間模様ば楽しんで、ひとりでにやにやするとが楽しかつね?」

夫「うんにゃたい。そげな人たちのすべてに、俺は毎日エールば送りよっと!元気ば発信しよっとたい!」

妻「なるほどね。んなら、私も手ば振ってみようかしら。」

夫「お~!そらよか!ちょうど夕方やけん、外に出てみっか?」

妻「うん」

てな感じで二人で並んで、挨拶をしていた時に、私が通りかかったというわけ。

当たらずとも遠からずと、勝手に思って、今日も朝夕、敬礼おじさんの挨拶に応えるのであった。