最近の若者

 

私は西鉄電車をよく使う。
今朝も、あるセミナーに参加するのに、朝、久留米駅から乗り、福岡方面へ向かっていた。
急行列車だったため、頻繁に駅に停車する。昔の急行は、こんなにたくさんの駅に停まらなかったはずだが。それはいいとして、朝倉街道駅に停車中にその事故はおきた。
私の乗っている車両で、突然バタッ!という大きな音がして、誰かが大きな声で「緊急停止ボタンを押せ!」と叫んだ。人垣をすかして見ると、女性が倒れており、意識が飛んでいる様子。ブザーの大きな音が車両に響き渡った。
列車は発車寸前だったため、ドアは閉まったままだ。
ようやくドアが開くまで3分少々だっただろうか。ものすごく長い時間に感じた。
駅員が数名駆けつけ、様子を伺っているが、運び出す素振りもない。
本人の意識が戻ったらしく、座席に座りぐったり下を向いていた。
と、その時だ。スーツ姿の小柄の男性が「何か飲み物いりませんか?」と聞いて、駅構内の自動販売機で水を買って、その女性に差し出したのだ。まだ若い彼の行動力と機転に感心せざるを得なかった。
そのあと、彼女は駅員に肩を抱えられ列車の外へ。
救急車を呼んだ気配がなかったので、ヤキモキしていた私は、思わず自分のスマホで119をコールしていた。
ほぼ同時くらいに駅舎からも119番通報があってたらしく、そのことを確認して、私は電話を切った。
その後、例の彼が私に「有難うございました。」と言ってきた。
私が119番に通報したことに対してだと思うが、彼が行動したことのほうが、数倍勇気ある行動だ。
乗客がたくさんいる中、彼と私は一瞬で同志となった。聞くと、今年の春、工業高校を卒業して、4月から新入社員として働き始めたばかりだという。最近の工業高校は、引く手あまたで超売手市場の中で、どうやって会社を選んだのか聞いてみると、給料とかより会社の内容や理念を重視して決めたんだとか。
いやいや、恐れ入った。
こんな新入社員なら、当社は大歓迎だ。
降車駅も同じだったので、彼の名前を聞いて、私も名刺を渡して「何か困ったことがあれば、いつでも相談に乗るよ」と言って、その場を別れた。
最近の若者の中にも、しっかりしていて素晴らしいのがいる!