LEGOの教訓

 11/6の読売新聞のコラムで、デンマークのレゴ社(玩具会社)のエピソードが載っていた。

個人の木工所の時代からだと約1世紀前から続いている老舗企業である。

この会社が2000年代に経営危機に陥った。

その原因は、特許切れやテレビゲームの登場、あるいは当時の経営者による「脱ブロック」方針による多角経営の失敗等、多数挙げられている。

その中で、設立当時の「創業の精神」が忘れられていたことも原因のひとつらしい。

 

ここに興味深いエピソードがある。

木製おもちゃのアヒルのニス塗りを通常3回から2回に減らし、コスト削減したと自慢する息子に、創業者の父親が怒った。

既に出荷された商品を鉄道の駅まで取りに行き、やり直させたという。

父親としては「何(誰)のためにおもちゃを作っているのか?」という「創業の精神」を息子に教えたかったのではないだろうか。

 

不振にあえぐ経営陣は「子どもたちに最高のものを」という創業当時のレゴ社の理念こそが目指すべき方向を示していると気づいた。

その後、レゴ社はあっという間にV字回復を遂げ、世界最大の玩具メーカーに返り咲いた。

 

この記事を読んで、ものづくりの世界において「顧客に喜んでもらう製品をつくる」というごく当たり前のことなんだけど、大会社でさえ忘れてしまうことがあるという恐ろしい経営の落とし穴が潜んでいると思った。

最近では、神戸製鋼の品質偽装問題、日産やスバルの無資格検査問題等、品質に直接かかわる事件が頻繁に起こっている。

先日はカップ麺用の乾燥チャーシューを、自社の設備改修の間、製造許可のない施設で加工していた会社に警察の手が入った。

 

これらは、皆、確信犯だ。

 

顧客の事などこれっぽっちも考えず、我が事を優先するわがまま経営といっても過言ではないと思うがどうだろうか。

人のふり見て我がふり直せとはよく言ったもので、もしかすると当社にもそういった「悪魔のささやき」があるかもしれない。

急がば回れ、楽そうな道や儲かりそうな道には、たいがい落とし穴がある。

 

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