今回のリオオリンピックでの、男子400mリレーの銀メダル獲得!
4人の選手の能力レベルもさることながら、銀メダルを獲得した直後から言われていることがある。
それが、バトンパスの巧さだ。
私も今回初めて知ったのだが、日本選手のバトンパスは、「アンダーハンドパス」といって、通常広く行われている「オーバーハンドパス」とは異なる。
聞くところによると、「アンダーハンドパス」の利点は、バトンのもらい手が無理に手を挙げる必要がなく、疾走フォームを大きく崩さずにスムーズな加速を可能にしているところ。
リレーにおいて最も重要なことは「バトンの速度を落とさないこと」なので、アンダーハンドパスの絶対的な利点である「受け手のスムーズな加速」が、オーバーハンドパスのように窮屈な姿勢で加速することよりもバトンの速度を落とさないことに繋がるらしい。
もっとも、欠点もある。
このパスではオーバーハンドパスに比べて両者の距離が近く、利得距離(注1)はあまり稼ぐことができない。
しかし、その欠点を抑え、長年のパスワークの努力を積み重ねた結果が、今回の銀メダルという快挙に繋がったのだろう。
そこで、タイトルの「次工程へのバトンパス」だ。
当社のような製造工場では、複数の工程を経て製品が完成する。
各々の工程の精度ももちろん大事だが、工程と工程を結ぶ受け渡しの意識を高く持つことが、最終製品の品質に大きく関わってくる。
前工程から次工程へ半製品が渡されるときに、いかに次工程のことを考えた(気遣った)渡し方をするのかがポイントだ。
私たちは、ひとりで仕事をしているのではない。
まわりの仲間たちとのチームワークがぴったり息があってこそ、いい製品が出来上がるのだ。
いい製品ができてお客様に感謝されたときは、だれか特定の個人の手柄では決してない。
原材料から多くの工程を経て加工され、製品になり、お客様の手に届くまでのすべてのバトンパスが、最高の状態で渡っていったからこそ、いい製品が可能となるわけで、そのことを絶対に忘れてはならないし、現場に携わる人たちは、それぞれの「次工程へのバトンパス」をおろそかに考えてはならない。
(注1)利得距離
オーバーハンドパスでバトンを渡す時に、渡す方は手を伸ばして渡し、もらう方は手を伸ばしてもらいます。その2人分の腕の長さだけ距離を稼げます。その距離を利得距離といいます。バトンがつまると腕を伸ばしきれずに渡すことになるので、利得距離が小さくなります。